創業80年を機に ~ 金子 正之 専務 ~

創業80年を機に ~ 金子 正之 専務 ~

創業80年を機に
株式会社中山組 専務取締役 金子 正之

~ 新意気…一灯照隅・万灯照国の精神~

80年の歴史を、社史で振り返ってみると、あらためて先人の苦労と不尽の情熱が肌身で感じられるところです。

建設業に限らず、企業活動は変動する需要にどう対処するかが永遠かつ基本的課題であります。この観点から、当社の先人の取り組みをみると、まず第1に高度成長時代にのった公共事業の拡大に対応すべく、それまでの反省にたって、近代的組織体制として衣替えし、道内他社に先駆けいち早く機械化導入、現場における原価管理導入、施工協力体制等施工体制の確立や技術者の採用、育成等による技術力の向上によって需要拡大に対処したことがあげられます。

これらは、今で言う「戦略的経営」であり、これが受注量の拡大を可能にし、今日の当社の基盤につながっています。

当時は、国民最低限の社会資本(シビルミニマム)の充足が主眼であったため、需要形態が比較的明確であり、したがって経営、営業の目標設定も容易な面があったとはいえ、技術力、信用力等の実戦力を早期に身につけてゆくことは、時代の先取りである新意気と不尽の情熱があったればこそと感をあらたにするところです。

今日、公共投資の削減、民間投資の縮少で、「建設産業の冬の時代」と言われています。反面、ある程度シビルミニマムが整備されたと言われている今日、人々は便利にはなったけれど、何か不安で、もの足りない社会であるとも言われています。そして、このようなことに対処する需要が21世紀型産業になるとも言われています。需要形態の明確なものを「ニーズ」といい、具体的な形態になっていない(疼きの状態)を「ウオンツ」と区別表現をしていますが、「ウオンツ」を顧客の価値創造へ展開(ウオンツのニーズ化)してゆくことが、21世紀型建設営業の重要戦略の一つとして設定してゆかなければならないと思っています。

このような事から、本年、営業体制の強化を主眼に組織の改定をおこなったところです。かって、施工体制と技術力の強化で需要増に対処した先人の不尽の情熱―中山魂―を、今1度全社員がかみしめ、ひとり一人「一灯照隅」が「万灯照国」になるとの精神を創業80年を迎えての新意気として、難局を乗り越えて行きたいと祈念する次第です。